失敗も多い?賃貸併用住宅の知られざるメリット・デメリット

「新築マイホームが手に入り、家賃収入で住宅ローンも返済できる!」そんな賃貸併用住宅の売り文句を聞くと、いかにもお得でリスクの少ない投資法に思えるだろう。しかし、そういった簡単&お得な投資法には、さまざまな落とし穴がひそんでいる。

今回は、賃貸併用住宅の知られざるメリット・デメリットや失敗しないためのポイントを解説していく。

賃貸併用住宅とは?

賃貸併用住宅とは、自分が住む居住スペースと人に貸す賃貸スペースが共存している物件のことだ。

よくあるのが、アパートの1階に賃貸スペースとして1Kの部屋が3〜4戸程度あり、2階がオーナー用の居住スペースになっている物件だ。土地が高い都心部では、木造3階建てで1階と2階半分の3戸分が賃貸スペース、2階半分と3階がオーナー住居といった構造もよく見かける。

賃貸併用住宅の構造例

賃貸併用住宅が注目を集める理由とは?

マイホームとして賃貸併用住宅が注目される理由

賃貸併用住宅は、賃貸スペースからの家賃収入で住宅ローンをすべて支払える場合も多く、「マイホームがタダで手に入る」などのメリットが注目され人気が高まっている。

住居費は、生涯支出のうち約4分の1を占めるといわれるほど大きなものだ。若い世代には、その大きな支払いのための金額をまとめて借り入れる住宅ローンの仕組みを嫌がる人も多い。入社した企業で定年まで働くという概念がなくなってきている昨今、住宅ローンのように長期的な借り入れは、会社を自由に辞められないなどの足かせになると考えるのだ。

そんななかで、賃貸併用住宅の「貸しながら住む」形式は住宅ローンの重荷を軽減する新しい方法として注目されている。

投資用物件として賃貸併用住宅が注目される理由

投資用物件として賃貸併用住宅が注目される理由は、住宅ローンを活用して低い金利で収益物件を買える可能性があるからだ。

通常、投資用の収益物件は、金利2%を超えるアパートローンやプロパーローンを利用して購入する。しかし、自宅部分が50%を超えている賃貸併用住宅であれば住宅ローンが適用されることがあり、その場合は1%を下回る低金利で物件が購入できる。さらに、8大疾病などに対応した手厚い保障が受けられるケースもある。

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知っておきたい!賃貸併用住宅のメリットとデメリット・リスク

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マイホームが手に入り、住宅ローン返済も家賃収入でまかなえる賃貸併用住宅は、いいことしかないと感じるだろう。しかし、賃貸併用住宅は、場合によって必ずしも良い面ばかりではない。ここでは、賃貸併用住宅のメリットとデメリット・リスクを解説していく。

賃貸併用住宅のメリット3つ

メリット1:家賃収入でローンの返済ができる

賃貸併用住宅の一番のメリットは、やはり住居費の支払いを家賃収入でまかなえるという点だろう。住宅ローンの負担が減るため、一戸建てでは手が届かない憧れの街に住むことや、都心に住みながら住居費がタダになるということもめずらしくない。

例えば、3戸を賃貸用の部屋にした賃貸併用住宅を、都心に8,000万円(土地5,000万円+建物3,000万円)で建てたとする。

1部屋8万円で賃貸にだした場合、月の家賃収入は24万円、年間では288万円となる。一般的な住宅ローンの条件である返済期間35年、変動金利0.6%で8,000万円全額を銀行から借り入れると、毎月のローン返済額は21万円程度。

毎月の家賃収入24万円から、ローン返済額21万円を引くと3万円が手元に残る。賃貸スペースの月額管理費を3%として7,200円がかかり、固定資産税・都市計画税が月2万円掛かるとしても毎月の収支は2,800円プラスになる計算なのだ。

8,000万円の賃貸併用住宅の例
家賃収入=3部屋×8万円=24万円
ローン返済=21万円
管理費・固都税=2.72万円
差し引き=24万円-21万円-2.72万円=2,800円

通常、同程度の広さのマイホームを建てると、ローン返済に10万円以上は掛かる。賃貸併用住宅の場合このお金を入居者が払ってくれることになる。

「都心に新築マイホームを建てて、タダで住める」は、あながち大げさな売り文句でもないのだ。ローンの支払いが終われば、家賃収入として不労所得を手にできるケースさえある。

メリット2:ライフスタイルの変化に対応できる

賃貸併用住宅のメリット2つめは、ライフスタイルに合わせて、住居を変化させやすいという点だ。

マイホームを購入するタイミングでもっとも多いのが、子供が産まれてから小学校入学頃までだといわれている。年代でいうと、30代後半から40代前半だ。この頃は、子供が増えたり、親との急な同居など突発的なライフスタイルの変化が起きやすい。夫婦2人と子供2人の家族を想定して購入したマイホームが合わなくなるケースがあるのだ。

そういった場合、賃貸併用住宅であれば、賃貸用の1部屋を一時的に居住用として子供の勉強部屋にしたり、親の同居用の部屋にするなど柔軟な対応策がとれる。万が一、夫婦が離婚することになった場合も、自宅部分を賃貸として貸し出し、自分が賃貸部分に住むなどして家賃収入を得ることも可能だ。

賃貸併用住宅は、一般的な一戸建てやマンションなどよりも、ライフスタイルの変化に対応しやすいといえるだろう。

メリット3:住宅ローンで融資が受けられる

賃貸併用住宅のメリット3つめは、前述のとおり、投資用として物件を購入する場合でも住宅ローンで融資が受けられる点だ。

住宅ローンは、国の方針と連動しているため、買い手に過度な負担がかからないよう金利は低く、かつ手厚い保障で住宅が購入できるようになっている。金利は0%台で引けることもあるのだ。さらに、住宅ローン減税やすまい給付金など税金面での優遇制度も適用される。

不動産投資においてもっとも難しいのは、融資を受けることである。この融資を、最高の条件かつアパートローンに比べて格段に簡単な審査で受けられるのが、賃貸併用住宅を不動産投資に活用する最大のメリットだ。

賃貸併用住宅のデメリット・リスク5つ

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一方、賃貸併用住宅のデメリットやリスクにはどんなものがあるだろうか。1つずつ説明していこう。

デメリット1:住宅ローンの借入額が大きい

都内近郊に賃貸併用住宅を建てるとなると、土地+建物の合計額が8千万円〜1億円前後になる場合が多い。

住宅ローンは一般的に、年収の6-8倍程度まで借り入れができるといわれるが、賃貸併用住宅を建てるための資金1億円を全額借りようとすると、世帯年収が1,300万円-1,700万円程度必要になる。日本で世帯年収1,000万円を超える人の割合は12%程度、1,700万円以上となると3〜4%程度とごく少数だ。賃貸併用住宅の場合、賃貸部分の収入が返済にあてられるとみなされるので年収の8倍以上のローンを組めることもあるが、毎月の返済負担が大きくなり過ぎてしまうため、多くても年収の10倍程度を借り入れの上限として設定しておくのがよい。

あとは、世帯年収の不足分をカバーするだけの頭金(貯金)があるかによるが、世帯年収1,000万円の場合だと、1億円程度の物件が購入価格の目安となり、必要に応じて1割程度の頭金を入れることになるだろう。

このように、賃貸併用住宅における借り入れや頭金の総額などは、一般的な住宅を購入する場合の住宅ローンと比べてかなり高額になり、世帯年収がある程度高いか多くの貯金がないと、賃貸併用住宅用に住宅ローンを組むのは難しいのが実情だ。

デメリット2:入居者トラブルのリスク

賃貸併用住宅は、収益性を保つために木造で建てられるのが一般的だが、そうなると周辺の音の問題は避けられない。通常の木造アパートはワンルームの集合体のため、入居者の大半が単身者であり、生活スタイルも似通っている。

しかし、賃貸併用住宅では、単身者用ワンルームとファミリー用住居の部屋が混在する。ファミリー用住居となる自宅部分には多くの場合子供がいて、賃貸スペースの住人とは生活時間帯や生活スタイルが大きく異なる。これがさまざまなトラブルの原因となるのだ。

通常のアパート経営であれば、住人同士のトラブルはほぼすべて管理会社に対応を任せるため問題ないが、実際に自分が住んでいる賃貸併用住宅となると、入居者と日常的に顔を合わせる機会も多い。管理会社を入れていても、多少なりともトラブルに巻き込まれることを覚悟しなければならない。

さらに大家として賃貸併用住宅に住むとなると、毎月家賃を払ってくれる入居者がそばにいるため、自宅を自由に使用しにくい。自宅の一部に生活スタイルの違う他人が住み、さらに大家として日々気を使いながら生活するのは、かなりのストレスとなるだろう。

デメリット3:収益性が低い

賃貸併用住宅を不動産投資用の収益物件として考える場合、建物の半分に本人が住んでいるため当然利回りは低くなる

例として、1棟の賃貸アパートを建てた場合と、賃貸併用住宅を建てた場合の表面利回りを比べてみよう。土地+建物総額1億円で全200平米の物件に、それぞれ下記の部屋を作るとする。賃貸併用住宅は、半分を自宅にしないと住宅ローンが適応されないため、2階部分すべてを自宅とする。

1棟賃貸アパートの利回り例

賃貸併用住宅の利回り例

賃貸併用住宅は、1棟アパートと比べて半分が自宅となっているため、当然ながら年間賃料収入は半分、表面利回りも半分になる。

賃貸併用住宅のメリットとして「都心に家を建ててタダで住める」点をあげたが、実際はタダで住んでいるわけではなく、家賃8万円のワンルーム4部屋分に32万円で住んでいると考えるのが、不動産投資的には正しい。この考え方は、経済用語で「帰属家賃」とよばれ、「家賃の支払いを伴わない持ち家においても、市場価格に換算して家賃を算出する」ことをさす。

賃貸併用住宅は、家賃収入で住宅ローンの返済ができる場合が多いため、収益性の高い投資だと勘違いする人が多いが、自宅部分の帰属家賃を考慮すると、ほとんどの場合、1棟アパートを新築や中古で購入するより収益性は低くなる。

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デメリット4:売却が難しい

賃貸併用住宅のデメリットとして、売却するのが難しいということがある。なかには、自宅だから売却しないと考える人もいるだろう。しかし、人生の中では、売りたくなくても売らなければならない状況が起こりうる。その際に、マイホームを購入したい一般層からも、収益物件を購入したい投資家層からも対象にされにくいのが賃貸併用住宅なのだ。

購入したい層が少ないということは、ライバル間の競争が働かず、物件が思い通りの価格で売れない可能性が高いということだ。賃貸併用住宅に住んでいる間に家賃収入を得ていても、売却の際に安値でしか売れなければ、保有中の家賃収入を食いつぶし、トータルでマイナスになる可能性は多いにある。

収益物件を購入する際の基本だが、物件購入前に売却まで含めたトータルの収支見通しを計算しておく必要がある。その際、賃貸併用住宅は、通常の一戸建てや1棟アパートなどよりも購入希望者が少ない分、安値で取引される可能性が高いことを覚えておこう。

デメリット5:投資拡大の足かせになる

デメリットの5つ目も不動産投資に関わることだが、賃貸併用住宅を建てるために1億円前後の住宅ローンを組んでしまうと、次の収益物件を融資を受けて購入することが難しくなる

賃貸併用住宅に対する金融機関の評価基準はそれぞれだが、デメリット3であげた物件の例だと、自宅部分が5,000万円、賃貸部分が5,000万円の住宅として計算される。その場合、金融機関からは、5,000万円の高額な住宅ローンがあり、さらに5,000万円の新築アパートを低利回りで購入した投資家と評価される。この実績では、次に収益物件を購入する際、審査の厳しいアパートローンを受ける前に門前払いされるだろう。

不動産投資の規模を拡大していきたい人にとって、賃貸併用住宅における住宅ローンはかなり大きなデメリットになるのだ。

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失敗しないためには?賃貸併用住宅で注意するポイント

危険な綱渡り

一見魅力的にみえる賃貸併用住宅にもさまざまなメリット・デメリットがあることがわかっただろう。ここでは、賃貸併用住宅で失敗しないために心得ておきたいポイントを紹介する。

マイホームでも、集合住宅であることを忘れずに!

これまでの説明で理解していただけたと思うが、賃貸併用住宅はマイホームであっても自分だけの家ではない。賃貸併用住宅には、生活リズムの異なるファミリー層と単身者層の世帯が一緒に住む。

夢のマイホームだからといって、連日連夜たくさんの友人を招いてホームパーティーをしたり、早朝や深夜の好きな時間に掃除機や洗濯機を使うなどはなかなか難しい。マイホームであっても、あくまで事業として運営している集合住宅だという意識を強くもち、賃貸部分の入居者から不快に思われないよう生活する必要があるのだ。

収支計画はヒアリングにもとづいた現実的な計画を!

賃貸併用住宅のメリットとして、家賃収入を住宅ローンの返済にあてられることをあげた。ただしこれは、賃貸部分の部屋に入居者がつき、しっかり家賃を支払い続けてもらえた場合の想定だ。

賃貸併用住宅の運営でも、通常の不動産投資同様、なかなか入居者が決まらない空室リスクや入居者が家賃を支払ってくれない滞納リスク、建物の老朽化にともなう家賃下落リスクなどがつきまとう。

新築で賃貸併用住宅を建てる場合は、部屋のプランから想定家賃を割り出し利回りを算出する作業を必ず行おう。新築物件では、まだ完成していない部屋の家賃を決めなければならないうえに、その想定家賃を間違えてしまうと利回りが大きく変わり、最悪の場合ローンが返済できない事態になる。

想定家賃は、賃貸情報サイトなどを参考に割り出すのが一般的だが、もっとも確実な方法は、最寄り駅の不動産会社に家賃のヒアリングを行うことだ。不動産会社が忙しくない平日昼間に電話をかけ、部屋のプランや駅からの分数を伝えたうえで、想定家賃で入居者がつくのか、難しいようであれば適正家賃はいくら程度なのか聞いてみよう。

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サブリース契約には要注意!

不動産の訪問営業をする若いビジネスウーマン Young business woman sales real estate

賃貸併用住宅を建てる際、不動産会社から「サブリース契約」をすすめられることが多い。サブリース契約とは、一括借り上げに伴う家賃保証制度のことである。

通常の賃貸経営では、物件所有者であるオーナーが入居者と賃貸借契約を結び、管理費などを差し引いた家賃収入すべてを受けとることができる。しかし、サブリース契約では、不動産会社がアパートを一括借り上げし、オーナーはそこから手数料などが引かれた一定のサブリース料を受け取ることになる。

入居者がいる場合も空室の場合も、通常家賃の8割程がオーナーに入ってくる仕組みのため、安定的な収益を見込めることがメリットとしてうたわれている。しかし、サブリース契約には問題点が多く、安易に手を出してはいけないということを覚えておいてほしい。

例えば、サブリース契約では「安心の30年家賃保証」といったことがうたわれる。しかし、実際には2年に1度程度家賃の見直しが行われ、たいていの場合数年後に保証家賃は引き下げられることになる。さらに、建築や修繕に関わる費用が割高になること、途中解約をしたいと思ってもオーナー側からは簡単に契約解消ができないことなどにも注意が必要だ。

サブリース契約は、不動産会社(サブリース会社)にとって絶対に損にならない契約になっている。

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物件の管理・メンテナンスは管理会社に任せる

賃貸併用住宅の場合、オーナー自身が物件に住んでいることもあり、自ら物件の管理を行う「自主管理」の形態をとる人が少なくない。管理会社に任せず自分で管理を行えば、それだけ収入が多くなるからだ。

しかし、物件管理のすべての仕事をぬかりなく対応するとなると、かなりの知識と労働力が必要になる。物件管理で重要な仕事は主に「入居者の募集」、「修理・クレーム対応」、「家賃管理」、「物件・部屋のメンテナンス」の4つだ。

例えば、入居者募集では、マイソクとよばれる部屋の概要書作成から物件情報の広告まで、入居者をつける努力が必要になる。修理・クレーム対応では、部屋の設備が壊れた時や入居者の隣人トラブル時、早朝・深夜に関わらずすぐに適切な対応を行わなければならない。家賃管理では、入居者の家賃滞納が発生した場合に何度も催促を行い、物件・部屋のメンテナンスでは、入居者の退去立ち会いから原状回復費の確定、修繕の段取りなどが発生する。

これらは管理の一例にすぎず、実際はさらに多くの作業があるうえ、それぞれに相応の知識や時間的・精神的ゆとりが必要だ。不動産投資の勉強のために、あえて自主管理をしたいという人以外は、手数料を支払って管理会社に管理を任せたほうがよいだろう。

管理会社に任せる場合、一般的に家賃の3-5%程度を管理費として支払う。例えば、8万円のワンルームが3部屋ある賃貸併用住宅の場合は、24万円の賃料に対して7,200円-12,000円が毎月の管理費となる。

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不動産投資に関する勉強をしよう

賃貸併用住宅は、不動産投資的には初心者向けの投資法である。なぜなら、不動産投資の要ともいえる融資付けが住宅ローンを使って簡単にできるからだ。とはいえ、賃貸併用住宅の運営は、れっきとした不動産投資であることに変わりない。

そのため、「賃貸併用住宅を建てることは不動産投資を行うこと」という認識が希薄なまま進めてしまうと、大きな失敗の原因となる。賃貸併用住宅に関する書籍はもちろんのこと、不動産投資全般の基礎知識も書籍やセミナーなどで身につけておくべきだろう。

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賃貸併用住宅は節税になる?税金と費用について

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賃貸併用住宅の運営でも、通常のアパート経営と同様に、経費の額が賃料を上回れば(つまり賃貸併用住宅の運営が赤字であれば)、確定申告時に給与所得と合算し所得税が安くなるため節税となる。

賃貸併用住宅を建てた場合には、減価償却費用やローンの利息、固定資産税、損害保険料などの経費がかかる。その他、不動産経営に関わる出費、例えば物件調査のためのタクシー代や飛行機代、同業者との打ち合わせ飲食費、さらには車代や通信機器代も使用割合に応じて経費化できる。

さらに、賃貸併用住宅では住宅ローン減税も適応される。住宅ローン減税とは、住宅ローンの年末残高の1%が、所得税から10年間控除される仕組みで、具体的には年間最大40万円、10年間で最大400万円が所得税が節税できる。

賃貸併用住宅では、不動産投資の節税の仕組みと住宅ローン減税の両方を利用できるため、給与所得のあるサラリーマンにとって節税効果は大きいといえるだろう。

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事前の計画が大事!賃貸併用住宅のオーナーになるまでの流れ

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STEP1:建築プランの策定・土地の選定

賃貸併用住宅を建てるには、まず土地を探す必要がある。賃貸併用住宅は、自宅だけでなく賃貸にもだすため、立地や周辺環境もある程度重要になる。ただ、やみくもに土地を探すのは効率が悪いため、先に建物のプランを考えておこう。

例えば、3階建てのうち、1階2部屋と2階1部屋を賃貸にし、2階の1部屋と3階すべてを自宅スペースにした賃貸併用住宅を建てるとする。自宅スペースを90平米確保したい場合、賃貸部分の延べ床面積も90平米となり(ほとんどの住宅ローンの条件が、住居部分50%以上で適応となる)、30平米の賃貸部屋が3部屋作れる。そうなると、建築面積は1階2部屋分の60平米必要となり、建ぺい率60%の土地では100平米以上の敷地面積が必要になる。

また、総述べ床面積が賃貸90平米+オーナー自宅90平米で180平米にしたければ、100平米の土地の場合、180%以上の容積率が必要だ(一般的な容積率160%で考えると、土地の広さは112.5平米以上必要)。

都心の坪単価150万円の土地であれば、100平米で約4,545万円、112.5平米で約5,113万円が土地価格となり、予算総額の上限が1億円ならそこから土地価格を引いた金額が建物の建築費用となる。

建築費用は、坪単価82.5万円で木造の注文住宅を建てられると計算すると、平米あたり25万円程度がかかる。180平米なら4,500万円となる。

賃貸併用住宅をゼロから建てる場合、土地値5,113万円+建築費4,500万円の総額9,613万円が必要となる計算だ。

3階建ての賃貸併用住宅の例
土地面積 112.5平米
建物面積 180平米
土地値:5,112万円(坪単価150万円)
建築費用:4,500万円(坪単価82万円)
総額:9,612万円

このように、まずは大まかなプランをたて、そこから必要な土地の広さ・建ぺい率/容積率、坪単価の目安を割り出したあとに土地探しを始めると、希望に近い土地が効率的に探せるだろう。

また、土地を探しながら同時進行で建築会社の候補も探す必要がある。希望に近い土地が出た際、プラン通りの間取りが入るのかを設計士に確認してもらう作業(ボリュームチェック)が必要なのだが、土地が見つかってから設計士を探し始めるのでは遅すぎる。良い土地はあっという間に市場からなくなってしまうだ。

あらかじめ、いくつかの建築会社(工務店・設計事務所・ハウスメーカーなど)に、資料請求・会社訪問・オープンハウス見学などをして候補を決めておき、良い土地が出たらすぐにプランの検討依頼ができる流れを作っておこう。

STEP2:土地の購入・ローンの申し込み

賃貸併用住宅用の希望通りの土地がみつかったら、買付申込書を入れて購入準備に入る。購入前には、想定収支計算をしておこう。賃貸用の部屋の数、広さと間取り、想定入居者層、想定家賃をまとめて、利回り計算をする。自宅部分も想定賃料を出しておけば1棟新築アパート(ワンルーム+ファミリー住居)の利回りが出るので、目安にするとよいだろう。

賃貸併用住宅の住宅ローンを組む場合、不動産会社か建築会社が提携している銀行を紹介してくれることが多いが、より有利な条件となるネット銀行などで組みたい場合は、自分でローン申し込みの手続きを行う必要がある。

また、住宅ローンは原則、建物が竣工してから融資がおりる。土地を購入する段階では正式な融資ではなく、つなぎ融資という制度を利用しなければならないため、自分が利用したい住宅ローンがつなぎ融資に対応しているかも確認しておこう。ローンの申し込みには、住民票や源泉徴収票3年分、印鑑証明書、場合によっては健康診断資料なども必要になるため、早めに用意しておくことをオススメする。

STEP3:建築工事の打ち合わせ・予算管理

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賃貸併用住宅用の土地が購入できたら、建物の詳細打ち合わせに入る。最初に決めた大まかなプランをベースに、細かい仕様を決めていく。

キッチンやお風呂、トイレ、壁紙、床材など決めることは多岐にわたるが、STEP2で決めた想定入居者と想定家賃をベースに、部屋のテイストや各設備の予算を決定していくと、当初の計画からぶれることなく進められるだろう。

STEP4:管理会社の選定・入居者の募集

賃貸併用住宅用の部屋の間取りや設備が決定したら、実際に入居者付けや管理業務を行ってくれる管理会社を探す必要がある。物件の最寄り駅、または一番近いターミナル駅にある不動産会社数社に連絡をとり、管理や入居者募集の方法を聞いて比較検討しよう。

同じ部屋であっても、管理会社によって提案される賃料は大きく違う。高く提案してくれる会社が良いのはもちろんなのだが、なかには契約をとりたい為に相場よりも高い賃料で提案してくる会社もある。相場より高い家賃で入居者が決まらなければ、結局は家賃を下げざるをえなくなるため、提案された賃料を鵜呑みにせず査定の根拠を聞き、信頼できそうな会社に頼むとよいだろう。

STEP5:賃貸の管理・空室対策

賃貸併用住宅の入居者が決まったら、日々の賃貸管理が始まる。といっても、物件の管理を管理会社に頼んでいれば、入金管理や入居者からのトラブル連絡などはすべて管理会社が対応するため、オーナーがやるべきことはほとんどない。

あとは、空室発生に備えて、安価なリフォーム業者や清掃業者をあらかじめ探しておくなどの空室対策を事前にしておくと、いざという時慌てずに対応できるだろう。

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賃貸併用住宅が良い選択になるかは、マイホーム用か投資用かで変わる!

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賃貸併用住宅について詳しく説明してきたが、賃貸併用住宅の購入が良い選択になるかどうかは、マイホーム用なのか投資用なのかで変わる。

マイホーム用としての賃貸併用住宅であれば、自宅の一部を賃貸とすることで住宅ローンの負担を大幅に減らすことができる。入居者トラブルの懸念などマイナス面もあるが、メリットと比較すれば許容範囲という人も多いだろう。賃貸併用住宅は、経費計上や減税制度が適応できることもあり、「便利な都内にマイホームを持ちたいが、価格が高くて難しい」と悩むサラリーマン世帯にとって、賃貸併用住宅はよい選択肢となるだろう。

一方、投資用として賃貸併用住宅をもつ場合は、デメリットの方が大きくなる。不動産投資の難点である融資付けが住宅ローンで簡単かつ好条件で行えるため、初心者には取り組みやすい投資に思える。しかし、住宅ローンの借入額が大きいと、次の物件購入で融資を受けることが難しくなる。これは、不動産投資で利益を拡大していきたいと考えている人にとって大きな欠点だ。さらに、賃貸併用住宅は、他の収益物件と比べて収益性が低く、売却も難しい。投資用として賃貸併用住宅を購入するのはオススメできない

賃貸併用住宅のメリットばかりに目を向けず、マイホームか投資か、自分がどちらの立場で賃貸併用住宅を購入したいのか考えてから決断することが大切だ。

不動産投資ユニバーシティでは、賃貸併用住宅を検討する際に気を付けるべき点や賃貸部分の収支計算方法について、個別面談にて相談を受け付けている。ぜひ活用してほしい。

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