REITと不動産投資、どちらを選ぶのが賢いか?

2020年12月16日4,511

REIT(Real Estate Investment Trust)とは不動産に投資する投資信託であり、資金が少ないという方でも10万円程度から「不動産に投資」が出来る。

しかもREITを利用すれば通常の不動産投資についてまわる管理や運営などの煩わしさがない上、利回りも良いものが多い。

このように利点の多いREITだが、不動産投資との決定的な違いは「融資を利用出来るか否か」だ。

それを踏まえた上でREITの特徴と通常の不動産投資とを比較し、どちらを選択すべきか検証していくこととしよう。

REITを通して不動産投資をする特徴とは?

REITの一番の特徴は、REITを購入することで不動産投資を数万円から行う事が出来る点だ。 

また多くのREITは東京証券取引所に上場されているので、売買に日数のかかる不動産と違って好きなときにすぐに売買する事も可能だ。 

そしてREITは不動産の賃貸収入が主な分配金(株で言う配当に相当するもの)の原資となっており配当利回りも一般の株よりも高い。

なぜならREITの場合は収益の90%超を分配するなどの一定の条件を満たせば法人税がかからず、また内部留保もないので収益がそのまま分配金に使用されるからだ。

では実際にあるREITの運用成績の例を見て確認してみよう。

下記の表はREITの全59銘柄の内、分配金利回りのランキングの上位5位までの表である。

REIT分配金3

(出典:http://www.japan-reit.com/ranking/all#rimawari 上記表は2017年10月27日終値時点)

上記の表の価格騰落率とは一年間の投資口価格の騰落率で、投資口価格は東京証券取引所における日々終値で計算される。

上位5位のREITの分配金利回りはいずれも6%を越える結果となった。

これら利回りが上位のREITは投資先がオフィスビル、ホテル、住居、商業施設などに分散している総合型REITである。

よって投資先が住居専用のREITと比べると現在は高利回りとなっているものの、景気変動により価格や空室率が大きく影響を受けて利回りやREITの基準価額が下落する可能性がある事に注意したほうが良いだろう。

REIT全体の平均分配金利回りは4.22%であり、最下位の59位の分配金利回りは3.30%である。

他にも全59銘柄の騰落率と1口の価格帯も併せて確認しておこう。

  • 分配金利回り:3.30%~6.73%
  • 騰落率:-25.76%~34.56%
  • 投資口価格:46,450円~608,000円/口

投資口価格は全59銘柄中、10万円以下で購入可能なREITは9件、10万円台では26件、20万円台でも10件はある。

100万円程度の資金があれば、複数のREITを購入して分散投資する事も可能だ。

一方で騰落率を見ると最も値を下げたREITは1年で25%以上値を下げおり、10%以上下げている銘柄は最下位のものを含めると19銘柄となる。

つまりREIT全体のおよそ3分の1は1年以内に10%以上値下がりしている事になるのだ。

その一方で10%以上値上がりしているREITは59銘柄中の8銘柄と、約8分の1程度の割合だ。

高配当が魅力がREITだが、価格が10%以上騰がったのは8分の1程度、価格が10%以上下がったものが3つの内1つはあるという事は知っておいた方が良いだろう。

REITと不動産投資で運用比較をした結果は?

では投資資金を50万円程度とした場合でREITと不動産投資の運用結果をシミュレーションしてみよう。

主に下記3点を比較することとする。

  1. 値上がり益(キャピタルゲイン)
  2. 分配金(インカムゲイン)
  3. 利回り(投資資金に対する利回り)

REITの運用例

REITからは分配金利回りで59銘柄中のちょうど真ん中付近に位置していた利回り4.6%の「星のリゾート・リート投資法人」でシミュレーションを行う事とする。(数値は2017年11月7日基準)

  • REIT:証券コード3287「星のリゾート・リート投資法人」
  • 比較期間:1年
  • 投資口価格:541,000円
  • 分配金利回り:4.6%

ではREITにおいて1年間の利益がどの程度になるかを見てみよう。

  1. 値上がり益(キャピタルゲイン):騰落率-5.09%(過去1年)
  2. 分配金(インカムゲイン):24,874円(12,224円+12,650円)
  3. 利回り(投資資金に対する分配金利回り):4.6%(24,874円÷541,000円)

この結果から54万程度でこのREITを購入した場合利回り4.6%で運用して24,874円の配当金が見込めるが、過去1年の騰落率が-5%超であることから、せっかく配当金が手に入ってもREITを売却した場合は受け取った配当金以上の売却損が出る可能性がある事に注意しよう。

 

不動産投資の運用例

次に投資資金50万円程度で不動産投資をした場合のシミュレーションを見てみよう。

  • 不動産物件:京都市内区分所有マンション(築24年RC造・1R) 
  • 物件価格:6,000,000円(フルローン・借入利率2%・期間23年間)
  • 物件表面利回り:10%
  • 自己資金:420,000円(諸費用分)
  • 家賃収入:600,000万円/年
  • ローン支払い:290,000円/年
  • 年間経費:120,000円/年(家賃収入×20%で試算)
  • 家賃利益:190,000円/年(家賃収入-ローン支払い-年間経費)
  • 投資資金利回り:45%(190,000円÷420,000円)

このシミュレーションから、自分の貯金からは諸費用分の42万円程しか投じていないのに融資を活用して600万円の物件に投資をする事で、毎年19万円もの利益を得る事が出来る事がわかる。

ではこの不動産に投資した場合の、REITとの比較対象部分を個別に見てみよう。

  1. 値上がり益(キャピタルゲイン):+9.46%(2016から2017の京都市の公示価格推移より)
  2. 家賃利益(インカムゲイン):190,000円/年
  3. 投資資金利回り(投資資金に対する家賃利益の割合):45%(190,000円÷420,000円)

REIT  vs 不動産投資 50万運用の試算結果は?

1.の値上がり益(キャピタルゲイン)はREITや物件そのものを売却時に表面化するものなので、ここでは2.と3.に注目してみよう。

2.は毎年利益として受け取る事が出来る分配金や家賃収入などのインカムゲインだ。

50万程度のREITを購入した場合の分配金は上記例では24,874円だが、それに対して50万分を諸費用に充てて融資を活用し不動産物件に投資した場合の家賃利益は、ローンや諸経費を差し引いても190,000円程度になっている。

その結果不動産物件における3.の投資資金利回り(貯金から投じた42万円に対する利回り)は45%となっており、REITの分配金利回り4.6%の10倍近いというのが試算結果だ。

ビジネスマンの握手,住宅とお金

REITには無い不動産投資のデメリットは?

まずメリットから先に述べておくと、上記試算結果から明らかなようにREITに無い不動産投資のメリットは融資を活用する事で高い投資利回りが実現できることだ。

REITは手間も殆ど掛からず高配当なので魅力的な投資先ではあるが、融資を活用して投資資金の何倍もの投資をする事は出来ない。

その他のメリットとして、REITではその不動産投資法人が運用する不動産に個人が口出しすることはできないが、自分で購入した不動産物件であれば、リフォームなどを行い物件の価値を上げて入居効率を向上させるなどの工夫も自分の意志でする事が出来る事などもある。

そしてREITには無い不動産投資の主なデメリットには以下があげられる。

  • 物件を探す手間がかかる
  • 融資を申し込む手間がかかる
  • 管理・運営の手間がかかる
  • 物件購入までの時間が長い(1ヶ月以上~数か月など)

不動産物件投資へののメリットを享受するためには、上記デメリットにあるような手間や努力が必要不可欠なのだ。

まとめ

手間をかけずに少額でお手軽に不動産投資をしたいなら、高配当のREITをを選択するのも賢い選択になるだろう。

だが有望な不動産物件や融資してくれる金融機関を探す手間を惜しまなければ、不動産投資では融資を活用した投資資金利回りの高い有利な投資を実現できる。

REITが高配当なのはプロがREITに組み入れる不動産を上手く運用しているからだ。

だが今は高配当であっても、一部のREITはホテルや商業施設など景気の影響に左右されやすいが利回りが高いという物件に投資しているものもあるのでREIT価格の騰落には注意しよう。

また一般の個人であっても、融資を活用して不動産物件を購入する方がプロが運用するREITを購入するよりも圧倒的に投資利回りが良いのは試算の通りだ。

そして有望な不動産の物件購入は素人でも十分な勉強を行い、時間を惜しまずに物件や融資元を探すことで可能となるのだ。

物件探しや融資してくれる金融機関の開拓、購入後の管理などの努力を惜しまなければ、REITよりも不動産投資の方が大きな利益をあげる事が出来る賢い選択にもなり得ると言えるだろう。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
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