収益不動産を資産管理法人で買うべきか個人で買うべきか

融資の申し込みをする際、個人として行う場合と、資産管理法人として行う場合の二つに大きく分けられる。

一般的には個人は投資に取り組みやすく、資産管理法人は税率や資金調達面から有利な場合が多いと言われている。

不動産投資を資産管理法人で融資を受けたて行った場合のメリット・デメリットについて理解しておこう。

法人化する場合のメリット

資産管理法人を設立することの具体的なメリットは以下の通りだ。

①法人税は所得税に比べて税率が低い

個人の場合、所得税率は住民税の均等割分と合計で最大55%になるが、法人の実効税率は下表1、表2の通り最大約34%程度と相対的に低い。

【表1 個人の実効税率】

課税所得額 所得税率+住民税率 所得税控除額反映後実効税率
195万円以下 15.0% 15.0%
195万円超330万円以下 20.0% 15.0~17.0%
330万円超695万円以下 30.0% 17.0~23.8%
695万円超900万円以下 33.0% 23.9~25.9%
900万円超1,800万円以下 43.0% 25.9~34.5%
1,800万円超4,000万円以下 50.0% 34.5~43.0%
4,000万円超 55.0% 43.0~55.0%

【表2 法人の実効税率】

課税所得額 法人税率・法人住民税率・事業税・地方法人税・地方法人特別税の合計
400万円以下 21.42%
400万円超800万円以下 23.20%
800万円超 34.33%

尚、上の表2は平成27年4月1日~平成29年3月31日に開始する事業年度についての数字であるので、その後の税率については国税庁のホームページなどを参考にして欲しい。

法人税の実効税率は34%程度(復興特別所得税は除く)だ。以上の表からみて税率だけを考えれば、年収900万円以上を超えると法人の方が特になる。

なお、個人の場合は各種社会保険料も必要なので実際の税負担はより高くなるとする考え方もある。

この場合は法人の方が得になる分岐ラインはさらに下がり、600万円前後となる。

一棟ものの物件への投資などでは、上手くすればこれらの年収ラインは比較的早く達成できるので、最初から法人化を視野に入れておくことも誤りではないだろう。

②節税手段の選択肢が多い

一般的には個人よりも法人の方が節税のための方法が多い。

法人で不動産投資を行えば、様々な出費が収益不動産管理・運営のための必要経費として明らかになり、損金扱いしやすくなる。

自宅兼事務所の家賃・生命保険・自動車の購入費や維持費など、法人の方が個人よりも経費として認められる範囲が広いからだ。

更に、家族への給与を役員報酬として計上することができることも大きい。

これらによって本人や世帯全体での所得税・住民税の節税が可能になる。

また万一相続が発生した際にも、相続税が全財産にかかる個人と異なり、法人に属する資産には相続税はかからない。

本人が所有する投資用の法人の株式には相続税が課税されるが、節税方法も多く存在する。

③一般に法人の方が信用力が高い

一般的に個人より法人の方が信用力が高く評価され、融資を受けやすくなったり、融資上限額が大きくなることが多い。

個人と異なり法人には原則寿命がないので、金融機関側が死亡や相続を考慮しなくていいという面でも有利だ。

個人であればローン完済までの期間を75歳までに制限されることが多く、高齢者が不動産投資をする際の大きな障害になっているが、法人であればこの点はクリアできる。

その他保証人を求められても、法人であれば法人が融資を受けて代表者が保証人になるという対応方法も可能になる。

④繰越損失の期間を長く設定できる

法人は不動産賃貸で赤字決算となった場合、翌事業年度から9年間に渡り繰り越しすることができる。

投資規模が大きく、不動産投資が事業規模であるとみなされた場合に3年間の繰り越しが認められるなどの例外を除いて、基本的に損失の繰り越しが認められていない個人と比較すると大きなメリットである。

⑤資金調達方法の選択肢が多い

法人であれば融資の他にも株式の増資を行うなど、個人では不可能な資金調達手段をとることができる。

⑥決算月を任意に設定できる

個人は国によって12月が決算月と一律に定められているが、法人は決算月を任意に設定できるため、計画的な節税対策を行いやすくなっている。

法人化する場合のデメリット

①設立手続きが必要

法人設立は慣れていないとやや面倒である。

但し、今は行政書士事務所などで比較的低料金で設立を請け負っているところが増えているので、大きな問題とはならないと考えられる。

②法人維持の費用が必要

法人化すると会計が複雑化し、決算書を毎年作成して税務申告をしなければならず、税理士や会計士に依頼する必要が生じるなど、ある程度の維持費用が必要になる。

また、法人都道府県民税均等割2万円、法人市町村民税均等割5万円、合計7万円が必要だが、この法人住民税の均等割は赤字であっても支払わなければならない。

③長期譲渡所得の優遇税制は利用できない

物件を売却した際に生じた譲渡益に対する税率は個人と法人で異なる。

個人の場合、5年以内に売却して得た売却益である短期譲渡所得にかけられる税率は39%、5年超で売却して得た売却益である長期譲渡所得にかけられる税率は20%となる。

また、この所得は給与所得などとは別に計算される。

法人の場合、短期・長期の別や、所得の別計算などはなく、表2の税率が税引前利益に一律に課税される。

特に5年を超えて保有した物件を売却する場合には、法人は個人より不利だと言えるだろう。

これを考えると5年から10年の中長期でのキャピタルゲイン狙いが投資目的であれば、個人での所有も視野に入れて良いということになる。

一方キャピタルゲイン狙いではなく、インカムゲイン狙いの大規模投資ならば、法人で投資する方がこれまで見てきた節税手段の豊富さや資金調達面で有利なことを考えると、法人で行った方が有利であると言えるだろう。

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