インカムゲイン・キャピタルゲインから見た不動産投資の出口戦略

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不動産投資は「出口戦略」が収支を大きく左右する。 

まず、不動産投資を全体で見た場合、収支は下記2つの合算になる。

  • 家賃収入であるインカムゲイン
  • 不動産の売却益であるキャピタルゲイン 

なおキャピタルゲインは会計上は以下の式で表される。

キャピタルゲイン=売却価格-(購入時価格-減価償却累計額)

 

ここで覚えておいて欲しいことは、売却益であるキャピタルゲインを算出する際には、購入時価格から減価償却累計額が除かれるという事だ。

減価償却とは不動産などの資産の価値を毎年一定の額だけ費用計上して減額することであり、減価償却費は毎年「減価償却累計額」として累計されていき会計上の資産価値をその分だけ引き下げている。

購入時と同じ価格で売れたとするならば減価償却累計額分だけキャピタルゲイン(売却益)が出るのだ。 

このため不動産投資を全体で見ると、下記の2点をよく考慮する必要がある。

  • 運営面で満室に近い稼働を目指してインカムゲインを最大化する
  • キャピタルゲインを伴う不動産売却時の出口戦略 を不動産購入前にも検討する

では売却益であるキャピタルゲインが発生した場合のインカムゲイン(家賃収入)も含めた総利益について具体例を挙げて見ていこう。

キャピタルゲイン(売却益)発生時の具体例

具体的に出口戦略として物件を売却する場合の収支例を考えてみよう。 

分かり易い例として以下の条件の場合を見てみよう。

  • 物件購入価格:1億円
  • 表面利回り:10%
  • 運営経費・支払利息:家賃収入の50%
  • 減価償却費:毎年300万円
  • 売却:購入から6年目
  • 売却価格:1億円←当初購入価格と同額 
  • 各種税金:考慮外

この場合の収支表は以下のようになる。 

【表1 物件購入価格と同額で売却できた場合の収支シミュレーション】 

大きい表1

*表1の各種計算は以下のようになる。

  • ④粗利益(インカムゲイン)=①-(②+③)
  • ⑤売却益(キャピタルゲイン)=⑧6年目の物件価格-⑦6年目の物件価格
  • ⑥税引前所得=④+⑤
  • ⑦取得資産簿価=前年取得資産簿価(1年目は⑧物件価格)-③各年の減価償却費

➆の取得資産簿価(簿価=会計上の価格・帳簿価格)は購入当初は⑧物件価格のである1億円(表では10,000)であるが、毎年③の減価償却費分の300万円が控除されるので低減している事に留意しておこう。

この例では不動産投資期間6年を通じた単純収支は以下の通りである(収益の現在価値を考慮外とした場合・以下同様)。 

インカムゲイン累計額1,200万+キャピタルゲイン1,800万=3,000万

 

この収支3,000万円は、物件所有開始から売却までのインカムゲイン(家賃収入)とキャピタルゲイン(売却益)を合わせた総利益になっている。

6年間の①家賃収入の累計額6,000万から②運営経費・支払利息の累計3,000万と、③減価償却費累計1,800万を引いたものがインカムゲインの累計1,200万の内訳だ。

実際の売却額⑧10,000万から簿価である⑦取得資産簿価8,200万を引いた金額が⑤売却益であるキャピタルゲイン1,800万である。

会計上は「物件購入額1億円-売却額1億円=キャピタルゲイン0円」ではないのだ。 

取得時と同額で物件を売却したのにも関わらず、会計上は⑤売却益が③減価償却費の累計額と同じ額だけ出ていることになっている。

物件購入時と同額で売れたとすれば減価償却累計額分だけキャピタルゲインが会計上は出ている事になっているのだ。 

会計上利益が出ているとという事は、課税対象になるという事である。

なお売却したときに掛かった仲介手数料などの諸費用は売価から控除可能となっている。

では、次に同じ条件の下、物件売却額が購入時の1割減、9千万円の場合を考えてみよう。 

【表2 売却額が購入額の1割減の場合の収支シミュレーション】 

大きい表2

*各種計算は表1と同様

この場合でもキャピタルゲインは「⑧6年目の物件価格(売却額9,000万)-⑦6年目の取得資産簿価8,200万=800万円」であるので、売却損、いわゆるキャピタルロスとはなっていない。 

この例では不動産投資期間6年を通じた単純収支は下記になる。

インカムゲイン累計額1,200万+キャピタルゲイン800万=2,000万 

 

但し以上の2つの例では売却時に会計上の利益が出ているので、課税される点には要注意だ。 

不動産売却に掛かる税率は個人で購入している場合、保有して丸5年を過ぎた直後の1月1日を過ぎている場合は20.315%、その期間が経っていない場合は39.63%である。

キャピタルロス(売却損)が出る場合

次に表1・表2と同一条件で、6年目の物件売却額が6,000万円、購入時の4割減になってしまった場合を考えてみよう。 

なおこの場合はキャピタルロス(売却損)が出るため課税対象にはならない。

【表3 売却額が購入額の4割減の場合の収支シミュレーション】 

大きい表3

*各種計算は表1と同様

この場合はキャピタルロスが△2,200万円と大きい額で出てしまっているため、最終的単純収支は下記の通りマイナスになる。

インカムゲイン累計額1,200万+キャピタルロス△2.200万=△1,000万 

 

利回りのみを重視して資産性が低い物件に投資した場合にこのようになりやすい。 

こういう場合は無理に低額で売却するよりも物件を保有し続けて、インカムゲイン累計額を増やしていく戦略を取ることが合理的だろう。 

では次に、物件が高く売れて売却額が購入額を上回った場合の例を見てみよう。 

物件売却額が購入額を上回った場合

これは表1~3と同様の想定で、物件売却額が購入額の2割増、1億2千万円になったとした場合のシミュレーションだ。 

【表4 売却額が購入額の2割増の場合の収支シミュレーション】

大きい表4

*各種計算は表1と同様

表1-4のいずれの場合でも言えることだが、毎年減価償却費分は経費として所得から控除される。

しかしその分の減価償却費は減価償却累計額として物件価格の簿価を引き下げている。

つまり毎年の家賃所得に対する課税を、減価償却費分だけ売却時まで繰り延べるという結果になるのだ。

よって減価償却費累計額分を、含み資産(繰延資産)のように見ることも出来る。

なお、表4の例の場合、不動産投資期間6年を通じた単純収支は以下になる。

インカムゲイン累計額1,200万+キャピタルゲイン3,800万円=5,000万

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出口戦略も含めて不動産収入を最大化するには

以上4つの例で見てきたとおり、不動産投資期間を通じた収支は以下の点に大きく左右される。

  • いつまで保有を続けるのか
  • 売却を選択した場合は、どの程度の価格で売れるか

利回りが高くインカムゲイン(家賃収入)で大きな収益を上げられる物件であっても、売却時に大きなキャピタルロス(売却損)を出してしまってはトータルで見た不動産投資としてマイナスになる可能性もある。

キャピタルゲイン(売却益)を得たいのであれば将来物件を売却する可能性を考え、将来における売却可能価格を予想した上で物件の購入を検討すべきである。

しかし不動産市場は常に変動しており、実際に売却しようとする時には物件購入時に想定した売却見込み額にはならない事も多い。

では不動産投資から最大限の利益を得るには、どのようにしたら良いのか。

購入した物件の管理にきちんと目を配り、高い入居率を維持して毎年インカムゲイン(家賃収入)を享受しつつ、不動産市況が活性化して購入物件の価値が上がったタイミングで購入価格と同等かそれ以上の価格で売却しキャピタルゲイン(売却益)も得る、という方法が不動産投資のメリットを最大化できる戦略となるであろう。

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