購入予定物件周辺の不動産会社にヒアリングをする方法(会話の例)

2020年12月17日4,368

購入予定の物件について、周辺の不動産会社にヒアリングすることは大変重要なプロセスだ。

概要資料とレントロールがあればある程度わかるのではないかと思うかもしれないが、大きな間違いだ。

資料に載っている想定家賃などの情報は、売主が自分に都合のいいように書いている可能性もあり、あてにならない。

資料に嘘が書いてある可能性は低いが、書かなくて良いような都合が悪いことは当然ながら記載されていない。

そもそも、その物件の募集を行うのは、売買の仲介会社達ではなく、物件周辺の不動産会社だ。

購入予定の物件がどのように不動産会社から扱われているのかは、実際に募集を行う不動産会社の営業マンに聞くのが一番確実なのだ。

この傾向は都内23区は当てはまらないが、地方都市ではより顕著な傾向となる。

ヒアリング作業は買付の前に行う

このヒアリング作業は、現地へ自分が行くよりもよほど重要だ。

このプロセスを飛ばし勝ちな人が多いが、どんなに面倒くさくてもやるべきだろう。

「レントロールの想定家賃が高過ぎることがわかった」

「周辺に単身用の空室が溢れていた」

「学区の評判が悪く、子持ちからは敬遠されている地域だった」

などが後から判明すると、相当痛い目に合う。

このような事態を回避するためには、ヒアリングによって物件の実態を事前に把握しておく必要があるのだ。

では、不動産会社に対して具体的にどのようにヒアリングするのかについて説明しよう。

どのタイミングでヒアリングするかだが、私は買付を入れる前に実施するべきだと考えている。無駄な買い付け申し込みは入れないに越したことはないからだ。

買付を出来るだけ早く入れなくてはならないなどの諸事情がある場合でも、ヒアリングは少なくとも契約前にはやっておかないとダメだろう。

ヒアリングするべき不動産会社の見つけ方

ヒアリングする不動産会社を選定は、Googleで検索するのが一番早い。

「物件の所在地+不動産会社」で検索すれば、一覧で出て来る。

私は地方のローカル線沿線の物件を検討することも多いが、不動産会社はターミナル駅に集中している場合が多い。

そのようなケースでは、物件から物理的に離れていても、ターミナル駅の不動産会社を選定する方がいいだろう。

ネットの検索結果からヒアリングする不動産会社を選ぶことになるが、最低でも2-3社は選定しよう。

選定基準は自分で考える必要があるが、大手FCは必ず入れておいた方がいいだろう。

エイブル、ミニミニ、MASTがあれば必ず入れておき、それに加えてアパマンショップ、ピタッとハウス、ハウスメイト、ハウスコムなどもあれば入れておこう。

地域によっては現地の地場の会社が強い場合も多い。

どの会社がそのエリアで強いかは、ホームページを見て社員数や店舗規模を見れば大体わかる。

大手FCの看板があっても、実際は社長+事務2人で売買を中心にやっている会社も良くあるので、注意が必要だ。

実際にヒアリングしてみればわかるので、そういう会社に当たってしまった場合は、その会社を除外してもう一社見つけよう。

具体的なアクセスのやり方は2つある。現地の店舗に行って直接話を聞く方法と、電話で聞く方法だ。

私はひとまず電話で聞く方法をいつも取っている。

買付を入れるたびに直接現地に行ってヒアリングしていては、時間がいくらあっても足りなくなってしまうからだ。

直接行く場合は、出来れば事前にアポ取りをしておいた方がいいだろう。その際は店長に応対してもらうようお願いしておこう。

不動産会社ヒアリングの会話例

不動産会社に電話を掛けて物件の状況を聞きましょう、という話をすると

「そんな電話を掛けて不動産会社から迷惑がられませんか?」

と聞かれることがある。

実際に電話をしてみればわかるが、ぞんざいに扱われることは稀だ。何故ならいきなり聞きたいことを尋ねるのではなく、その物件を購入予定であり、大家になる可能性があることを伝えるからだ。

どの不動産会社も将来大家になる人に対してむげな態度を取ることは少ない。上手くやれば管理契約を取れる可能性もあるからだ。

付け加えると、不動産会社の社員はしょっちゅう電話をしている。

空室の確認や鍵の受け渡しなど様々な連絡を電話を使って行っているので、電話で色々話すことには慣れているのだ。遠慮をする必要は全くない。

具体的には、以下のような会話から始めるのが良いだろう。


「こんにちは。私は○○と申しまして、大家をやっています。今度○市の物件を購入しようと検討しているのですが、周辺の状況や管理についてお聞きしたいと思い、電話をさせて頂きました。出来ればいま少しお時間を頂きたいと思いますが、大丈夫でしょうか?」


※最初に大家を名乗り、今後管理を委託する可能性を伝えるのがポイントだ。続けて、物件の需要と想定家賃について聞く。


営業マン「大丈夫ですよ。大家さんをやられているんですね。購入する物件はもう決まっているのですか?」

「はい。○○マンションという物件がいま売りに出ているので、購入を検討しています。この物件はご存知ですか?」

営業マン「知っていますよ。最近は空室が増えていますよね。以前我々が管理していた時は満室で稼働していたんですが。」


※地方の場合、このように物件名を言えば話が通じる場合が多い。物件名を言うと売主から嫌がれる場合もあるが、申し送り事項としてヒアリング禁止だと言われてなければ、物件名は出して聞いた方が話が早い。


「そうなんです、空室が多くあります。物件の想定家賃からお聞きしたいのですが、今のところ3LDKのファミリータイプで管理費・駐車場込で75,000円で募集しています。この家賃水準は妥当ですか?」

営業マン「少し高いですね。室内も汚いままですし。室内を綺麗にして6万円台なら大丈夫だと思いますよ。」

「68,000円とかですか?例えば御社に管理と募集を依頼した場合、この水準であれば満室に出来ますか?」

営業マン「68,000円なら周辺と比べてもそん色ないので、十分可能だと思います。」

「なるほど、ありがとうございます。5室空いているのですが、3か月以内に埋めたいと考えています。そもそもファミリー物件の需要はどの程度あるんですか?」

営業マン「6万円後半の家賃で3か月間もらえれば、どうにか満室には出来ると思います。ファミリーの需要は年間を通してある地域なので、その点は問題ありません。」

「駐車場についてはどうでしょうか?今は1戸に1台分しかないのですが、2台必要な人も多いですか?」

営業マン「2台必要な人も中にはいますが、駅も近いですし1台分確保出来ていれば問題ないと思います。駐車場なしだとキツイですね。」


※ここでのポイントは具体的にどの位の期間で満室に出来るかを聞いている点だ。家賃水準が適正でも、かなりの部屋数が空いている場合、需要との兼ね合いにより、相場より安めの家賃設定でないと早期に埋めるのが難しいケースもある。ここら辺はニュアンスを考え、うまく言葉を選んで聞く必要がある。


「ありがとうございます。敷金・礼金はどうでしょうか?今は敷金1・礼金1で募集しているようですが。」

営業マン「敷礼ゼロゼロも増えているので、礼金はなしにした方がいいですね。」

「広告費はどうでしょうか?」

営業マン「うちは1ケ月です。」

「そうなんですね。2か月だと多いですか?全体のどの位の割合が1ケ月なんでしょうか?」

営業マン「2か月は少ないです。ほとんどの物件が1ケ月です。2か月分もらえれば頑張りますよ。」

「そうすると全体の7割ぐらいが広告費1ケ月という感じですか?」

営業マン「そうでうすね・・・多分8割以上の物件が広告費1ケ月です。」

「わかりました。ペット可も検討しようと思っていますが、このような物件は多いですか?」

営業マン「非常に少ないです。ペット可にした場合、敷金をもう少し取った方がいいですね。あとは既存の入居者への説明も重要です。いまはペット不可なので。」

「そうですね。既存の入居者への説明が一番重要ですね。了解しました。」


※敷金礼金と広告費についてヒアリングして、適正な水準を探った。ペットについても聞いているが、需要がそもそもあるのであれば、この段階で無理して聞く必要はないだろう。


「ありがとうございました。お聞きしたいことは大体聞けました。確認ですが、68,000円で広告費2ケ月であれば3か月ぐらいで埋められそうだという理解でいいですか?」

営業マン「そうですね。大丈夫だと思います。」

「管理を任せた場合の管理手数料はどの位の水準ですか?」

営業マン「うちは5%です。」

「わかりました。物件を具体的に購入する段階になったらまた連絡させて頂きます。ありがとうございました。」

営業マン「はい、宜しくお願いします。」


最後に管理を任せた場合についても聞いておこう。実際に任せるつもりがなくても、管理について聞いておけば心証は悪くならない。

上記かなり順調な場合の例だ。実際は、需要がないので募集は無理だと言われることもあるし、家賃を大幅に下げないと決まらないと言われることも多い。

不動産会社によって

A社「家賃7万円なら必ず埋まります」

B社「6万円台前半でも厳しいです」

というように、大きく異なる見解を出されることもある。

これを聞いた我々は、なかなか難しい判断を迫れるわけだが、私の経験では募集が強そうな会社が言うことが正しいケースが多い。

心配ならヒアリングする会社を増やそう。

ヒアリングする際に必ず聞くべき内容

まとめると、ヒアリングする際に外してはいけないポイントは以下の点だ。

・需要はある地域なのか?

・家賃は適正か?空室はいくらの家賃なら3か月以内に埋められるか?

・敷金礼金、広告費の水準はどの程度か?

・駐車場は必要か?1戸当たり何台分必要か?

上記に加えて、どのような職業の人が入居するのか(学生、近くの工場勤務者など)や、ファミリー物件であれば学区や利用するスーパーマーケットなどについても必要に応じて聞いた方が良いだろう。

不動産会社にヒアリングをしていると、物件に対する最初の印象とは全く違う場合も出て来る。

「以前火事が起きて大変な騒ぎになったことがある」

「1階は湿気がかなりあり、すぐカビだらけになる」

「今は室内が汚いから募集出来ないが、前のオーナーの時は常に満室だった」

などだ。

ヒアリングは物件購入前の大変重要なプロセスだ。最初は億劫だが、慣れてくると会社の昼休みなど、短い時間でも問題なく電話が出来るようになる。

是非トライしてみて欲しい。

この記事の監修者

不動産投資ユニバーシティ代表 志村義明
大学を卒業後、大手シンクタンクに入社。リテール金融ビジネス向けの業務に従事。愛知、埼玉、山梨等で不動産賃貸業を展開し、会社員時代に合計100室超を購入。高利回り物件の投資を得意とし、保有物件の平均利回りは16%超にのぼる。現在は不動産会社(宅地建物取引業者 東京都知事(2)第98838号)を経営。
詳細プロフィール

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